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2022.10.13 中嶋 健吉
1億円の壁
岸田首相の詠唱する新資本主義の柱の一つが、資産所得の倍増です。 その後押しをするのが税制面の対応ですが、有るべき税制に向け自民党税制調査会の会合が始まっています。 資産形成の為の税優遇措置は、その恩恵が片寄らないことが重要です。 そこで必ず問題になるのが「所得1億円の壁」の議論です。
日本の所得税制を簡単に見ると:
給与所得 累進制で住民税を含め最大で55%課税
金融所得 一律20%(所得税15% 住民税%%)課税
給与所得は1億円を超えると税率が軽くなります。 ザックリ見ると:
所得5000万円超――1億円の層 所得税負担27.9%
10億円――20億円の層 “ 20.6%
100億円超 “ 16.2%
つまり1憶円を超えると、金融所得を多く持つ傾向の富裕層の税負担が軽くなるのです。 では1億円超の所得納税者の数ですが、日経報道によると2019年で2000万円超の所得で確定申告した人の数は630万人、そのうち1億円超の所得納税者は2万人に止まるとしています。 1億円の壁是正のための累進性見直しなら、その対象は極めて限定的で対処出来るのではないでしょうか。
OECD 調べでは日本は富の偏りが大きくないとしています。
国内資産に占める比率
富裕層上位0.1% 1.0% 10.0%
アメリカ 8% 42% 82%
日本 ― 11% 41%
ただ日本は極端な富裕層は少ないものの、プチ富裕層は」極めて多いとの報告が有ります。 仏のコンサル会社の調べでは、日本で資産100万ドル(約1.4億円)以上所保有している層は365万人、米国の746万人に次ぐ2位で、3位に2倍以上の差をつけているとの事です。 コロナ明けのリベンジ消費に期待が持て経済回復の起爆剤になりそうです。 既に好調な百貨店の業績に其の萌芽が表れています。