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2022.06.29 鈴木 一之

「DX」の実体はよくわからない、という事実

プロ野球でも大相撲でも、勝負の世界に生きる人たちの考え方はだいたい似ています。「引きずらない」ということを口ぐせのように唱えます。

負けても勝っても翌日に引きずらない。それは勝負事が一戦一戦、独立しているからでしょうか。

コインを1回投げて表が出たとすると、2回目に投げて表が出る確率は50%です。表が出るか裏が出るか、それは1回目の結果とまるで関係ありません。これを「独立」していると言います。

勝負事もそれに近いと思われます。大相撲の場合、本場所は15日間にわたって、毎日立ち合いがあります。前の日の勝敗を引きずっていては、今日の力が本気で出せません。インタビュールームに呼ばれた力士が口をそろえて「一日一番」と言い続けるのはそのためです。

株式投資の世界はそれと少し異なります。昨日の値動きは本日の動きに必ず影響しています。株価の値動きは独立してはおりません。デイトレードの勝負でもない限り、「一日一番」とはならないのが世の常です。

そのために株式市場では、今日の延長で明日を考えるために、常に先読みばかりしています。明日なにが起こるかなんて、永遠に誰にもわからないのですが、それでも明日のことを予想しようとします。昨日よりも明日が大事で、そのせいでしょうか、あまり過去のことを気にしなくなります。

それではいけません。本当は過去がとても重要なのです。株式投資は「記憶のゲーム」と言われるように、過去が未来に影響します。過去をきちんと踏まえた上で未来が築かれます。

日本精工がDX(デジタルトランスフォーメーション)に1000億円という巨費を投じるとのニュースに接して、真っ先に思ったことが上記のような内容です。どこがどうつながるのか、自分でもうまく説明できないのですが、工場の複雑な作業工程をデジタル技術によって可視化する、見える化すると、日本精工にとって非常に大きなものが得られるのでしょうね。

DXという言葉に接する機会が非常に増えましたが、その実体はあまりに範囲が広くてよくわかっておりません。しかし日本精工のように、これまで見えなかったものがデジタル化によって見えるようになるだけでメリットが得られるのであれば、どこかで株式投資にも応用できそうな気がします。

今の段階ではここまでの理解ということで。話にオチがなくてすみません。
(スズカズ)