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2022.06.30 中嶋 健吉

存在感増す個人投資家(2)

4月28日に続く第2弾です。  年初から6月17日(第3週)までの24週間で、日本株を買い越している投資主体は事業法人と個人のみです。 事業法人の買い越し額は約2兆円、一方個人は現物を500億円、信用は1兆4000億円と、合わせて1兆4500億円の大幅買い越しです。 2021年は現物▼3.6兆円の売り越しながら信用は△3.9兆円の買い越しで、差し引き約3000億の10年ぶりの買い越しでした。 データーの取れる1983年以降、個人投資家が買い越したのはバブル崩壊の1990年、リーマンショックの2008年、そして2011年の東日本大震災の3回のみで、いずれも株価の急落局面での押し目買いで、短期値幅取りを狙う投資行動が明確に出ていました。 しかし2020年3月にコロナショック急落があったものの、2021年以降の日経平均は25000円~30000円のボックスで推移しており、こうした局面での買い越しは極めて稀と言えます。

東京証券取引所発表の株式分布状況での2021年3月の個人株主数(延べ人数)は、前年度比309万人増の5981万人で7年連続の増加になっています。 7年前の2014年は4582万人でした。 一方証券保管振替機構調べによる個人株主数の実数は1407万人と、2018年(1339万人)から急増しています。 積み立てNISA の拡大と無縁ではありません。 参加者には相場の上昇局面と合致した為、含み損を抱えることのない成功体験だけが残っています。

金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融商品を選ぶ最も重視するポイントが従来の「元本が保証されている」から、「利回りが良いから」、「将来の値上がりが期待できる」などに明確に変わってきています。
小さな成功体験の積み上げが従来のデフレマインドを変え始めていると言えます。 特に1995年以降生まれのZ世代は、生まれたときからデジタル技術が確立されていることから、情報収集に長けており日本の将来を偏見なく見通すことが期待されています。 こうした集大成が2022年も個人の株式買い越し基調を維持し、市場でのその存在感を更に高めるでしょう。