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2022.05.19 中嶋 健吉
社会インフラ投資の必要性
岸田首相提唱の新資本主義の色付けが始まっています。 4本柱として、人,
科学技術イノベーション、スタートアップ、グリーンデジタルが挙げられていますが、その根底を支え妥協を許さない方針は脱炭素(カーボンニュートラル)であると明確に示しています。 官民協調で向こう10年に約150兆円の新規投資が見込まれています。 こうした華々しい方針に隠れていますが、岸田政権が待ったなしで取り組まざるを得ない政策は老朽化する社会インフラ施設の改修投資との声も、同じように大きくなっています。
国土交通省によるとッ社会インフラは建設後50年が寿命といわれ、2033年には道路橋は全体の63%、水門など河川管理施設は62%、トンネルは42%、港湾岸壁は59%がその目安に達するとしています。 しかしこれはあくまでも目安であり2012年12月に天井崩落で9人が命を落とした、中央自動車道笹子トンネル事故は築35年後の事でした。 コンクリートは強いアルカリ性で内部の鉄筋はさび難いと言われますが、それでも空気中の二酸化炭素が徐々に染み込み中性化し、鉄筋を守る働きが弱まります。 鉄筋がさびると膨張し、コンクリートのひび割れに繋がるのです。
日本 は1995年以降G7で唯一公共投資が減少した国です。 1996年に比べおよそ6割の水準まで落ちています。 その間英国では4倍、米国、ドイツも2倍前後にまで拡大させているのです。 一方日本ではバブル崩壊後の景気テコ入れの公共投資拡大が選挙の票に繋がったとの批判、小泉政権の小さな政府指向、民主党政権の「コンクリートから人」への政策発動等、公共社会インフラ投資が批判の対象になり、不遇の時代が続きます。 これに呼応する様に日本のGDP成長も横ばいになり今に至ります。
公共投資拡大には、財政均衡の観点から財務省など必ず反対意見が出るのですが、日本にはその債務を半分以上相殺できる他国には無い沢山の純資産が有るのです。 これを考慮すれば財政事情は他国と遜色ないのです。 IMFは正式に日本は債務超過国ではないと公表しています。 民間にアニマルスピリットを求めるなら、政府にも過去にとらわれない政策発動を期待したいものです。