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2022.04.20 鈴木 一之
世界は予想されたとおりの道を歩んでいる
まさに廃墟です。ロシア軍による大規模な攻撃を受けたウクライナの街並みは、見るも無残な姿で映像の向こう側に広がっています。CGが全盛となった映画やゲームの世界でも、これほどの破壊行為のあとを作り出せるものではありません。
内戦が続くシリアでも同じような光景を目撃しましたが、アレッポはその後どうなっているのでしょうか。おそらくどうもなっていないのでしょう。シリアもアサド政権の後ろ盾となったロシアが強く関与しているとされています。
ロシアはそれらすべてを「フェイク」だと切り捨てています。国連は避難決議を繰り返すばかりで紛争解決の能力はまるでありません。唯一のスーパーパワー、アメリカはアフガニスタンから撤退したばかりで武力の行使を最初から放棄しています。
誰もなにも止められないまま公然と野蛮な行為が行われています。人間の世界は本当に残酷なものです。
ひとの行動や考えは取り巻く環境に大きく左右されるものだと痛感します。最近は文章を書いたり、ひと様の前で話をしたりする時に、楽観的な見方、明るい展望を発することがむずかしくなりました。自分の中のダイナモをひとりで回して、明るい話題を見つけ出すことが次第に狭まっているなと感じます。
しかし考えてみれば、戦前の日本はこんなものではなかったのでしょう。治安維持法によって言論と思想が厳しく統制され、特高警察が目を光らせ、投獄と拷問が日本でも日常的に行われました。近所の人が隣組として密告し合います。それと比べると現代日本ははるかに自由です。
防衛予算の引き上げが既成事実として議論されるようになりました。軍隊を増強しても武器を取って戦うのはその国の国民です。ウクライナでは65才以下の男性は出国を許されず、国にとどまり死を賭して戦うことが当たり前のように求められます。果たして今の日本人にその覚悟はあるのでしょうか。
世界はこのようなものになると予想されていたような道を歩んでいます。予想以上に悪い道かもしれません。そうなってみて初めて、厳しい現実に圧倒されます。「悪い円安」などはどうということはないように思えてきます。
(スズカズ)