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2022.02.02 鈴木 一之

株価と神だのみ

2月になりました。梅の花の季節です。多くの日本の人々と同じで私も梅の花が大好きです。

寒風に負けずに咲く小さな花を追いかけて、幼いころから湯島天神に何度も訪れました。学問の神さま、菅原道真を祭る湯島天神は受験生の願いが記された絵馬でいっぱいです。コロナウイルスに負けずに今年の受験を無事に乗り切ってください。

受験の季節は3月決算企業の決算発表の季節でもあります。先週の金曜日は317社が一度にリリースし、早くも最初のヤマ場を迎えました。東証1部の主要な企業はほぼ今週で出そろいます(木曜日は119社、金曜日は273社)。来週は1部上場の小型企業と新興市場が中心で、例によってここも一気に駆け抜けます。業績相場では決算の数字がとりわけ重要です。

一般に、業績相場は好景気下で訪れます。業績相場イコール「業績に基づく相場」ですので耳ざわりはよいのですが、相場テクニック的にはけっこうむずかしいものです。

景気は(一応)よいので金利は上昇し、今年はそこに物価の上昇も伴っています。自社だけでなく同業のライバル企業も売上げ・利益が伸びているため、どうしても利益の質や株主への還元策などが他社と相対的に比較されてしまいます。

事業拡大に伴って材料費や人件費、テナント料、光熱費など支払い項目も金額が増えてくるため、それを上回る売上げを稼ぎ続けるのはけっこうたいへんです。そうこうするうちに利益の伸び率やマージン(利益率)が少しでもペースダウンすると、アルゴリズム取引が作動してファンドからのまとまった売り注文が発動され、株価が急落することにつながります。

景気はよいので業績は伸びているのですが、利益の伸び率や利益率が下がっただけで株価はピークを打ちます。それらの関係などはかなりあとになってから判明するので、目の前で起きていること(=好景気での株価の下落)が当初はまったく理解できないというケースがよくあります。

株価の天井は株価だけが教えてくれます。理屈ではわかりません。神頼みに近いことになりますが、その辺を含めて湯島天神の神さまに近々お参りしてまいります。