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2022.01.20 中嶋 健吉

バリュー株の復権なるか

年初よりハイテク株(グロース株)比率の高い、ナスダック指数の下落が目立ちます。ナスダックの恐怖指数(VXN)も1月5日以降25以上で高止まっており、又チャート的には200日移動平均を下回るなど、波乱相場を示現しています。米調査会社リッパ―社によると、1月6日までの1週間でバリュー株を代表するエネルギー株、銀行株のETFには、それぞれ11億ドル(約1250億円)の資金が流入した半面、グロース株筆頭のテクノロジー株ETFからは5億ドルの資金が流出したと指摘しています。 

東京市場でも同様の動きを示しています。インフレ懸念は金利上昇を呼び込むことから、バリュー株への期待が膨らんでいるのです。一方金利とグロース株には逆相関の関係があります。金利が上がれば、グロース株の将来の利益を現在価値に割り引く割引率が上がり、グロース株の高いバリュエーションは容認され難くなります。(分かり易い例では、一年後の利益110万円は、金利10%なら現在価値では100万円になりますが、20%では90万円にしかなりません)市場は金利上昇局面では、割高な株価を合理的に説明しにくいグロース株を避け、バリュー株志向を強めることになります。

日本でバリュー株指数が大きく上昇した、2016年後半を参考に見ておきます。

バリュー株指数は2016年7月8日の1316から、12月16日には1836まで半年で4割近い上昇を果たします。市場が意識したのはアメリカ10年債の動向ですが、その利回りは7月4日の1.32%から12月12日には2.64%まで上昇しています。バリュー株復権は、金利動向が大きな鍵を握っていると言えます。

今回アメリカの10年債利回りは、因縁の1.8%の水準を抜いて来ました。FF金利先物市場では、3月の利上げ開始、年内3回の引き上げを織り込んで動いており、当面は2%を目指す動きになります。市場の思惑が2.5%に引き上がればバリュー株復権がより明確になりそうです。

(中嶋)