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2022.11.24 中嶋 健吉
石油マネーの買い??
11月17日の日経新聞で「中東の逆襲」との表題で300兆円の石油マネーの行方を取り上げています。 アラブ主要石油産出国のサウジアラビア、UAE,
クウェートの政府系ファンド(SWF)の資産残高が拡大すると予想していますが、OPEC加盟国の2022年の石油輸出収入が2013年以来の高水準になる126兆円(9000億ドル)に上ることがその背景にあります。 とくにサウジアラビアの政府ファンドは現在7000億ドル(98兆円)とみられる運用資産が、2025年には1兆ドル(140兆円)に拡大するとの予想です。
こうしたアラブの政府ファンドは、別名FUTURE GENERATION FUND(
(次世代向けファンド)と呼ばれ、石油が枯渇しても次世代の生活を担保するためのものです。 従って運用は極めて保守的で米国債など安全資産に向けられてきました。 しかし一般的に債券投資は金利上昇による各国国債価格の暴落で、今まで価格上昇と利息収入で過去12年間積み上げてきた運用益のほぼ全てを失くした(ブルンバーグ世界債券総合指数の試算)と言われています。 余剰を抱える石油マネーが今まで通り米国債中心の運用に魅力を感じる可能性は低くなっています。 代替的に安定的な株式投資が見直されています。
アラブ石油マネーの日本株買いが顕著に表れたのは1980年初めの第2次オイルショック後の事です。 日経新聞の「日本証券史」によると当時の総合証券14社集計の外国人投資家同動行は:
1977年 ▼3347億円 売り越し
1978年 ▼2172億円 売り越し
1979年 ▼1436億円 売り越し (しかし12月から買い越しに転じ)
1980年 △8454憶円 買い越し
1981年 △2336億円 買い越し
1982年 △1285億円 買い越し
1983年 △6665億円 買い越し
主に買われたのが 日立、新日本製鉄。三菱重工、NEC, 富士通、東芝
三菱電機、など当時の日本経済を支えた大型トップ銘柄ばかりでした。 特に日立の外国人持ち株比率は13%から一気に20.7%まで急上昇しています。
さて売り越し続けていた外国人投資が10月から大きな買い越しに転じています。
それに呼応する様にセクターに関係なく日本を代表する大型バリュー株の上昇が顕著です。 まるで1980年の動きを復活させた様です。 長く日本をパスしてきた外国人投資には基本的な日本の知識が不足していると言われています。
その中で日本を選択する株式投資では大型バリュー株中心になるのは必然です
更に何より安全を重視する中東マネーではその傾向が強くなります。
願望を込めて中東マネーの復活を願っているのですが。