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2022.06.23 中嶋 健吉
ローカリゼーションの始まり
3月10日の当ブログに「グローバリゼーションの終わりを投稿しています。 ほぼ全ての関係者が指摘する様に、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクにより、経済の根幹をなすエネルギー、重要物資サプライチェーンの崩壊からグローバリゼーションが終わりを告げ、地産地消型経済への移行つまりローカリゼーションが始まったのです。
ローカリゼーション、つまり地産地消型の経済を成長させるには貿易より内需拡大がポイントになります。 アメリカの場合、個人消費は経済の底辺を強力にサポートするもののこれ以上の拡大は限界があるでしょう。 その為財政拡大に経済発展の軸足を移したのがバイデン政権です。 昨年11月に妥協を重ねながら成立したのが、5年間に1,2兆ドルを用意したインフラ投資法案です。 新規投資として5500億ドルの枠を取り、道路、橋、電力インフラ、鉄道インフラ、ブロードバンド等社会基盤の整備を明確に打ち出しています。 インテルの2兆円規模の半導体工場の国内新設は、半導体供給網の整備を国策とするバイデン政権に呼応したものです。
一方日本はアメリカとは違い、停滞する個人消費の拡大失くして内需の拡大は望めません。 家計の可処分所得の拡大が優先課題に挙がっています。 現在は急激な円安で輸入物価の上昇、それに伴う生活必需品の値上げなどインフレの風が吹き始めていますが、長くデフレに悩まされた日本にとってはむしろ復活の糸口になるとの見方もあります。 歴史的にこうした原材料価格の上昇は遅れて賃金の上昇に波及することは知られているからです。 円安についても、当番組でお馴染みの武者氏が指摘する様にJカーブ効果が期待されます。 円安の初期は輸入物価の上昇などがあり経済にマイナスに映りますが、国内市場では割高の輸入品が、割安になった国産品に代わられ、海外でも安く性能の良い国産品が外国製を駆逐することが期待されます。 Jの形状のように右肩上がりが期待されます。
この様に国内での生産が活発化すれば、国内での設備投資の活発化、雇用拡大賃金の上昇に繋がります。 最近の日経報道でも今年度の設備投資は25%増と1973年以来の高水準になり、そうした動きを保管しています。 更にアメリカを代表する投資ファンドの カーライルグループ(運用資産3250億ドル、世界に26オフィス、1900名の従業員)、ブラック・ストーン( 2100億ドル、24オフィス、1800名)の2社が揃って製造業の国内回帰を主張しているのです。主なポイントは:
*伝統的な貿易相手国への依存を減らし、サプライチェーンの現地化を進める
*企業は生産を社内か自社のコントロールが及ぶ場所で行う必要がある
安全保障の観点から、日米共同での半導体製造の国内回帰の動きは始まったばかりです。 そしてその対象が広範囲に広がり始めています。 日本経済の復興の鍵はどうやらこの辺りにありそうです。