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2022.06.09 鈴木 一之

「ソバーキュリアス」でいこう、かな?

これが「新しい日常」というものなのでしょうか。毎日がびっくりすることの連続です。

発端は日本経済新聞が発表した2022年・上期の「ヒット商品番付」です。これを水曜日午前の「東京マーケットワイド」の冒頭、新聞ニュースの注目記事に取り上げたことが始まりでした。

今年上半期の東の横綱は「値上げ消費」、西の横綱は「リベンジ旅行」でした。このチョイスはさすが日経MJ、という感じで十分に納得できます。問題はそれより下のランキングです。

東の大関は「ノンアル生活」、西の大関は「メタバース」でした。このあたりから私のようなオジサン的な世代はまったくついてゆけません。

確かにコロナ以前から、若い人たちを中心にノンアルコールを好む人たちが増えているなとは感じていました。それがヒット商品番付の上から2番目「大関」に登場するとは。そこまで市民権を得ているとは想像できませんでした。私が遅れているだけかもしれませんが、朝から軽い衝撃を受けました。

ご存じのように今回のコロナ禍では、居酒屋、バー、レストランはどこもたいへん厳しい状況にあります。よいお店だったのに経営をたたんでしまったところもずいぶん多いと聞きます。私の周囲でもそのような例が何件もありました。

しかしそれはコロナウイルスの感染拡大が原因であって、それさえ終息すればすぐに元に戻る、と考えていたのですが、どうやら事態はそう簡単ではなさそうです。

皆がみな、ノンアルコールの生活にひたっているわけではないのでしょうが、今のノンアルコール文化は、ただ単にお酒が苦手というだけの人ではなくて、本来はお酒をたしなむ人もあえて飲まないようにしている、ということです。

「ソバーキュリアス」という生活だそうですね。「ソバキュリアン」とも呼ぶそうです。ミレニアム世代を中心に、飲まないで大勢で集うことがクールなんですね。これはまったく新しい価値観です。

このような「日常的に飲まない」、「大勢集まっても飲まない」ライフスタイルは、ここ数年来のもうひとつのブームである「睡眠の質を良くする」ことにも関係しているそうです。あるいは今の所得の増えない時代に、飲み会などで無駄なお金を使わないで済むミニマムな生き方とも関わってくるとか。

うーむ。説得力がありますね。農耕民族である日本人が秋の刈り入れが終わって、今年の豊作を感謝して村中が集まって神様に感謝する、祭りを開いて酒を酌み交わす、という文化とはまるで異なります。

「ソバーキュリアス」とともにもうひとつの衝撃が、西の大関にランクインした「メタバース」です。昨日の「東京マーケットワイド」でも、「メタバース」と近いところにいる「ブイチューバー」のインパクトが強すぎました。

長くなりましたので「ブイチューバー」に関しては、また別の機会に譲りたいと思います。おそらく新人スタッフKさんが、私なんかよりもはるかに詳しく報告してくれるのではないかと期待しています。

それにしてもたいへんな「ニューノーマル」時代になったものです。ついてゆくのがたいへんです。中島らもの「今夜すべてのバーで」を無性に読み返してみたくなりました。
(スズカズ)